9月入学移行のメリット・デメリットとは?9月入学に賛成・反対意見や問題点・課題について!

安倍総理は「9月入学についてこれぐらい大きな変化がある中で、前広にさまざまな選択肢を検討していきたい」と延べ、休校長期化で、外出自粛要請が続く中、9月入学案浮上してきました。

今、私なりに考えを整理するためにも「9月入学」についてのメリット・デメリットや問題点や課題について私なりに調べた内容を共有させて頂きます。休校の影響は深刻、今こそ秋入学への移行を真剣に考えましょう。



9月入学移行のメリット・デメリットとは?

一部の知事・野党から9月入学制度変更求める背景としては、欧米では9月入学が主流だからです。日本では明治時代文部省指示で4月入学に。明治維新で西洋のシステムが導入され、日本も9月入学になりました。

しかし、学校運営に必要なお金(予算)を政府から調達するためには、国の会計年度の始まりである4月に合わせないと、いろいろな不都合が出てきたので、4月入学になったわけです。これこそが日本の先人の知恵。学校運営資金を政府からもらうため会計年度に合わせた経緯があります。

9月入学移行のメリット・デメリットとは何でしょうか?それぞれの視点から確認していきましょう。

1.9月入学メリット

9月入学実施によって得られるメリットを確認しましょう

1-1.休校に伴う学習の遅れを取り戻せる

・文部科学省は全国の自治体に対して、2万5000校を超える小中高校などに学習支援をどの様にしているか調査を実施

・教科書やプリントなど紙の教材を活用した家庭学習はすべて自治体が指導

一方で、

・デジタル教材を活用した家庭学習を指導している29%

・テレビ放送を活用した家庭学習を指導している24%

・教育委員会などが作成した動画で学習支援している10%

・パソコンなどの端末を使って対面でのオンライン指導に取り組んでいる5%

学校休校で、学校・自治体が工夫・努力しているところもありますが、対応がバラバラで大半は宿題等で子供に自主的な学習を促していることが分かります。

仮に休校が長引いた場合、現在の4月入学を9月入学に移行することによって、半年間の余裕ができます。

一斉に登校が難しい地域があったとしても、分散登校で実際に生徒の顔を見ながら指導も可能になり、学校間あるいは家庭の通信環境の格差も緩和出来るのではないでしょうか?

9月入学への移行は、失われた学生生活を取り戻せる可能性があるというのがメリットではないでしょうか。

1-2.海外留学もしやすい

以前から、海外からの学生受入れ、逆に海外の学校への入学を考えると9月入学が良いという議論はありました。

欧米は9月入学が主流なので海外留学がしやすい

1-3.就職活動・各種試験が先延ばしにできる

3月以降予定されていた企業の合同説明会などが中止・延期になっています。特に地方大学の学生は就職活動が止まっている状態です。

また、6~7月には公務員採用試験も順次行われる予定です。
果たしてこの状態で採用試験を実施できるのでしょうか?

学校が全て9月入学となると8月末に卒業し、9月入社及び勤務開始となることが想定されます。半年余裕を持って学生も就職活動・各種試験を受けることができるし、受け入れる側も余裕をもって日程調整や準備ができます

2.9月入学デメリット

9月入学実施によるデメリットを確認しましょう

2-1.就職活動に影響

一般企業の新入社員の一斉入社は4月からが多いです。

それが8月卒業となると経済団体連合会等の加入している会社が9月入社に簡単に変えることはできるのでしょうか?

大企業は経済規模も大きいので入社時期を変えることは経営的に可能かもしれませんが、中小企業に入社する新入社員は無事に9月入社ができるのでしょうか?

9月入社となると4月入社で昇給制度を考えてきた企業の制度改革が必要です。最終的には各企業の判断に委ねられると予想されます。

2-2.部活動の大会時期に影響

休校で、修学旅行・学校祭・体育祭や部活動の大会・発表が延期中止になっています。

最終学年で行事・大会を目指して努力を重ねた子どもたちのことを思うと残念でなりません。

2-3.コロナが9月までに収束しない場合

コロナの自粛期間がどの程度続くかわかりません。スペイン風邪のように第二波、第三波が来るかも知れません。

今後は「ホームスクーリング」というデジタル教科書・オンライン教育・遠隔授業を併用することを導入していけば、今回の自粛休校に限らず災害時の対応や不登校学生への教育支援も出来る可能性があり、それらも同時に考えて行かなければならない時期に来ています。



9月入学に賛成・反対意見や問題点・課題について!

1.9月入学移行に賛成・反対か?

9月入学移行に賛成か反対か確認しましょう

1-1.ネットの声


9月入学賛成が若干多い傾向です

1-2.賛成意見

3月の自粛の遅れを取り戻すのが難しいので9月入学には賛成です。

9月入学になれば夏の入試になってインフルエンザとか積雪で受けられないリスクが解消されるのは魅力的。

インフルエンザが寒い時期に蔓延するように、コロナが寒い時期=共通テストの時期に再び蔓延する場合も想定されるのではないでしょうか?

国際化、グローバル・スタンダードの視点では9月入学に賛成です。急ではありますが、この機会に9月入学を実施するいい機会ではないでしょうか?外出自粛を機会に授業を削減するのではなく、9月入学にスライドすることで、子どもたちに無理のない学習機会を与えることは大事だと考えます。

1-3.反対意見

日刊スポーツ社緊急アンケートによると10代以下反対約77%に上ることがわかりました。卒業式・入学式は桜の季節がいい

9月にコロナ感染が収束している保証がない中での変更に疑問。
仮に6~7月に大学入試で、9月入学に以降したとしても、来年6~7月にコロナの心配がなく共通テストが実施できるかどうかは誰にも分かりません。

学費や家賃の負担が半年分増える
4年間の大学生活だと思っていたのが4年半になれば、その分学費や家賃・仕送りが半年分負担増になる

受験も先延ばしになる不安
1月が共通テストと思って生徒に頑張らせているのに、そこから数ヶ月先に延期だと生徒も指導の教師も気持ちが持たない

オンライン授業など始まっている中での方針変更への反発

早く進学・就職したい

根本には国に対する受験への信頼の無さがあるようです
例えば数学の記述試験を行うと言っては覆り、また英語の試験を民間で筆記試験を実施しようとして取りやめるなどの不信感から反対意見が出ている。

生徒・学生・先生・保護者の9月入学に賛成・反対の声を多く吸い上げてから判断する必要があります。

2.真剣に検討されているかスケジュールを確認しましょう!

スケジュールとしては文部科学省だけではなく、政府主導で同時並行にすすめるべきです

2-1.文部科学大臣の声

一つの選択肢としてシミュレーションはしているが文部科学省だけで完結できる問題ではない。9月入学に現実性が出てきた?感じですが、今の調子だと9月までにCOVID-19が収束しそうでもないので、9月入学にした上、9月以降に授業の全面オンライン化が可能なように準備を進めるべきかと思います。

2-2.どこに影響があるのか

・文部科学省管轄:小・中・高・大学に影響

現在の大学入試のスケジュールは総合型選抜は9/1以降開始

学校推薦型選抜は11/1以降開始です

共通テストは1/16,17です

これだけ休校が続いている状態で高校は生徒をどうやって評価するのでしょう?

また、スポーツ文化芸術分野での活躍の場を失った生徒たちは、客観的な成績がないかな、何をアピールして総合型選抜、学校推薦型選抜の入試に望むのでしょうか?

・厚生労働省管轄:保育園に影響

文部科学省の判断だけで入園時期を変えられないのが保育園です。

省庁をまたぐ判断になるので9月入学を実施にするには政府の判断が重要になります。

・経済産業省・企業:就職に影響。就職時期の変更による

経済産業省から経済団体への説明が必要になります。企業が短期間で9月入社に楫取りを行うには政治判断が必要になります。ただ議論するだけでは何も変わりません。

・国・自治体:会計年度に影響

政府主導であれば変えられると思います。
ただ移行期間はどうするか?
年度が1年半になるのでその扱いをどうするか?
官僚のアイデア次第で何とかなるのではないでしょうか。

9月入学は各省庁をまたぐ問題で
社会全体に影響を与えるので各方面との調整が必要

2-3.小池都知事の声

9月入学に変わると幼稚園のスタート
小中高大・就職活動全部変化する
混乱もしますが(新型コロナで)今すでに混乱しているわけで
だったら社会を大きく変えるきっかけになるのかなと

2-4.大学の現状

オンライン授業を始めている。大学生はオンライン使いこなせている。授業に影響は出ていない。返って課題を出したりレポートのチェックがあるので、勉強のウェイトは高くなる。支障はあまり出ていない。本人と交流できないのは可愛そう。

2-5.小・中学校の現状

支障が出ている。タブレット端末が配られてオンラインで授業を始めている学校と課題すら出さない学校との学力格差が出ており、特に受験生は受験に間に合うのかと心配の声が出ている。

オンライン授業が始まっている学校では子供が規則正しい生活を遅れているメリットがある。

そこで休校分の授業確保の為、夏休み短縮を検討している自治体が半数あり、学習の遅れを取り戻る方法として全国121自治体に調査。自治体に複数回答を求めた結果

・夏休みの短縮(63自治体)
・修学旅行など学校行事の縮小(半数以上)
・土曜授業を実施・増やす(3割)
・冬休みの短縮
・平日の授業時間数を増加
・15分授業など短縮授業を増やす
・日曜・祝日も授業を実施

などが検討されている。



まとめ

個人的には9月入学への移行問題は、「現場の意見」を反映し、9月入学の結論・結果ありきではなく、様々な問題点・課題を解決しつつ検討を進めなければならないことだと考えます。現場の意見を吸い上げるこの時期だからこそ、生徒や保護者さん学校の先生の立場の方々が、教育委員会や自治体に9月入学の是非を意見することが今後大事になってきます。